損益分岐点の出し方と使い方をやさしく解説|「いくら売れば黒字か」がわかる
損益分岐点の出し方と使い方をやさしく解説|「いくら売れば黒字か」がわかる
「あといくら売れば黒字になるのか」「いくらまで売上が落ちたら赤字になるのか」——この問いに即答できる経営者は、強い。その答えをくれるのが損益分岐点です。難しそうな言葉ですが、考え方はとてもシンプル。これがわかると、価格設定・目標設定・コスト判断まで、経営のあらゆる場面で役立ちます。本記事では、損益分岐点の出し方と使い方を、計算が苦手な方にもわかるように解説します。
- 損益分岐点とは?3つの言葉を整理
- 変動費と固定費の違い
- 損益分岐点の出し方(簡単な計算)
- 損益分岐点を経営にどう使うか
- 黒字体質に変える3つの打ち手
1. 損益分岐点とは?3つの言葉を整理
損益分岐点とは、売上と費用がちょうど等しくなり、利益がゼロになる売上高のこと。この売上を超えれば黒字、下回れば赤字です。まずは関連する3つの言葉を整理しましょう。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 固定費 | 売上に関係なく毎月かかる費用(家賃・人件費など) |
| 変動費 | 売上に比例して増える費用(仕入・材料費など) |
| 限界利益 | 売上から変動費を引いた、固定費をまかなう元手 |
2. 変動費と固定費の違い
計算の前に、費用を「変動費」と「固定費」に分けることが大切です。
変動費:売上に応じて増減する費用
仕入、材料費、外注費、販売手数料など。売れば売るほど増える費用です。売上がゼロなら、基本的に発生しません。
固定費:売上に関係なく一定の費用
家賃、正社員の人件費、リース料、保険料など。売上がゼロでも毎月出ていく費用です。この固定費をいかにまかなうかが、黒字化のポイントになります。
3. 損益分岐点の出し方(簡単な計算)
損益分岐点は、次の式で求められます。難しく見えますが、やることは単純です。
- ① 限界利益率を出す = (売上−変動費)÷ 売上
- ② 損益分岐点売上 = 固定費 ÷ 限界利益率
具体例で見てみる
たとえば、限界利益率が50%(売上の半分が固定費をまかなう元手)、固定費が毎月100万円の会社なら——損益分岐点売上は「100万円 ÷ 0.5 = 200万円」。つまり、月200万円売れば利益ゼロ、それを超えれば黒字です。
4. 損益分岐点を経営にどう使うか
使い方①:毎月の売上目標を決める
損益分岐点がわかれば、「最低でもこれだけは売る」というラインが明確になります。目標を“願望”ではなく“数字”で設定できます。
使い方②:値下げの可否を判断する
値下げすると限界利益率が下がり、損益分岐点が上がります(=より多く売らないと黒字にならない)。「この値下げで、黒字に必要な売上がどれだけ増えるか」を計算してから判断できます。
使い方③:固定費を増やす判断に使う
人を雇う、店舗を増やすなど固定費が増える投資は、損益分岐点を押し上げます。「増えた固定費を回収するには、いくら売上が必要か」を事前に把握できます。
5. 黒字体質に変える3つの打ち手
損益分岐点を下げれば、少ない売上でも黒字になり、不況にも強くなります。下げる方法は3つです。
- 固定費を見直す(最も即効性がある)
- 変動費を下げる(仕入・原価の改善)
- 限界利益率を上げる(値上げ・高付加価値化)
損益分岐点とは、利益がゼロになる売上高、つまり黒字と赤字の境目です。求め方はシンプルで、固定費 ÷ 限界利益率(限界利益率=(売上−変動費)÷売上)。これがわかれば、「あといくら売れば黒字か」が数字で見えます。
使い道は幅広く、毎月の売上目標を現実的に設定したり、値下げの可否を判断したり、固定費を増やす投資の妥当性を測ったりできます。そして、損益分岐点を下げれば(固定費削減・変動費改善・限界利益率アップ)、少ない売上でも黒字になり、不況に強い会社になります。難しい計算は不要です。「固定費 ÷ 限界利益率」——この一つの式を手に入れるだけで、経営判断が“勘”から“数字”に変わります。まずは自社の固定費と限界利益率を出してみましょう。
※本記事は損益分岐点の一般的な考え方を解説したものです。費用の区分や計算は会社の実態によって異なります。詳細な分析は、必要に応じて専門家にご相談ください。


