利益が出ない会社の原価管理|どこから見直せばいいかを具体的に解説
- 原価管理とは何か・なぜ重要か
- 原価は3つに分けて考える
- 原価を見直す具体的な5ステップ
- 削ってはいけない原価の注意点
原価管理とは?なぜ利益に直結するのか
原価管理とは、商品やサービスを提供するためにかかる費用(原価)を把握し、ムダを減らしてコントロールすることです。原価が下がれば、その分そのまま粗利が増え、利益に直結します。売上は相手(お客さん)がいて自分だけでは決められませんが、原価は自社の努力でコントロールできる部分が多い——ここが原価管理の大きな魅力です。
ここで大事なのが、原価を1%下げる効果は、売上を増やす効果よりずっと大きいという事実です。たとえば利益率5%の会社が原価を1%下げると、利益は大きく跳ね上がります。一方、売上を1%増やしても、増えるのは利益率分のわずかな利益だけ。だからこそ、利益が出ない会社はまず原価を疑うべきなのです。
原価は「3つ」に分けて考える
原価管理の第一歩は、原価を分けて見ることです。「原価が高い」と漠然と悩んでいても、何も改善できません。ざっくり3つに整理すると、どの部分にムダが潜んでいるのかが見えてきます。自社の原価を、頭の中でこの3つに振り分けてみてください。
モノにかかるお金
商品の仕入れ、材料、部品などの費用。仕入先・数量・単価を見直す余地が大きい部分です。ロス(廃棄・不良)もここに含まれます。人にかかるお金
製造や提供に直接関わる人の人件費。作業のムダ・手待ち時間・非効率な工程が、見えにくいコストになっています。その他にかかるお金
水道光熱費、消耗品、外注費など。一つひとつは小さくても、積み重なると大きな金額に。見落とされがちな部分です。原価を見直す具体的な5ステップ
では、実際にどう見直すのか。やみくもに「安くしろ」と現場に言っても続きません。次の5ステップで、順序立てて進めるのが成功のコツです。一つずつ着実に取り組みましょう。
原価の「現状」を正確につかむ
まずは商品・サービスごとに、いくら原価がかかっているかを把握します。どんぶり勘定では改善できません。ざっくりでも数字を出すことがスタートです。一番大きい原価から手をつける
すべてを一度に見直すのは大変。金額の大きい原価ほど、改善のインパクトも大。「大きいものから」が鉄則です。仕入先・単価を交渉・比較する
長年同じ仕入先のままになっていませんか?相見積もりを取る、まとめ発注で単価を下げるなど、交渉の余地は意外とあります。ロス・ムダを減らす
廃棄、不良品、作りすぎ、手待ち時間。これらは“お金を捨てている”のと同じ。現場のムダを一つずつ洗い出して減らします。続けて「定点観測」する
一度見直して終わりではなく、原価率を毎月チェック。上がっていないかを見張ることで、改善を維持できます。見落としがちな「隠れた原価」に注意
原価の見直しというと、つい仕入単価ばかりに目が向きます。しかし、利益をじわじわ削っているのは、目に見えにくい「隠れた原価」であることが少なくありません。代表的なものを知っておきましょう。
① 廃棄・ロスのコスト
売れ残って捨てた商品、作りすぎて余った材料、不良品。これらは「仕入れたのに売上にならなかったお金」、つまり丸ごと損失です。日々の小さなロスも、1か月・1年で積み上げると驚くほどの金額になります。
② 手待ち・やり直しの時間
材料待ち、段取りの悪さ、ミスによるやり直し。こうした「動いていない時間」「ムダに動いた時間」も、人件費という立派な原価です。作業の流れを見直すだけで、同じ人数でより多くこなせるようになります。
③ 惰性で続く割高な契約
「昔からこの業者だから」「面倒だから」と見直していない仕入れや外注。世の中の相場は動いています。久しく見直していない取引ほど、割高になっている可能性が高いのです。
【具体例】原価の見直しで黒字化したH社
飲食業のH社は、売上は悪くないのに利益がほとんど出ない状態でした。原価を分解して調べると、食材の廃棄ロスが想像以上に多く、さらに長年同じ業者から割高で仕入れていたことが判明しました。
そこで、発注量を見直して廃棄を減らし、複数の業者から相見積もりを取って仕入単価を下げました。メニューの質はそのまま維持。原価率が4ポイント改善し、赤字すれすれだった利益がしっかり黒字に転換しました。「売上を増やさなくても、利益は作れるんだと実感した」と社長は語ります。
よくある質問(FAQ)
- 原価を1%下げる効果は、売上を増やすより大きい
- 原価は「材料・人・その他」の3つに分けて見る
- 現状把握→大きいものから→交渉→ムダ取り→定点観測
- 品質や価値に関わる原価は削らない
- 原価改善は今日から自社の力で始められる利益対策


